第19話によせて
「 キレる高齢者 」 というワードが話題になったこともありました。
年齢を重ねると、人は 「 穏やかになり 」 「 周囲への感謝を忘れず 」 「 ニコニコと縁側でお茶を飲む 」 。
そんなイメージはもしかしたら、『まんが日本昔ばなし』で作られたものかもしれません。
このお年寄りは、絵に描いた様な優しいおじいさんです。何を言われても怒らなくなったと言い、笑って流せるおおらかさを身に備えました。そこには重ねてきた人生経験と、いい人であることを演じる努力が垣間見えます。
しかし、しつこく指摘されるうちに段々とイライラし、ついには堪忍袋の緒が切れ、怪獣「カンニンブクロウ」へ変身してしまいます。
「アミダX」はレントゲンの様な光です。それは人間の中身をありのままに映し出します。それは、無明の闇を照らす智慧の光ですから。
そしておじいさんの中身には、ムミャー（無明）とガシュー（我執）しかなかったのです。
阿弥陀如来の眼には、残念ながら人間は、どんなに努力をしても、年齢を重ねても、その中身は我が身可愛さという煩悩にまみれていることを見抜かれました。それが故に
「 そのままに救う 」 と慈しみと悲しみの心でおはたらきくださいます。
それは同時に、どこまでも自己中心の凡夫であることが知らされるのでした。
しかし、その事実にひとたび気付かされても、何度でも怪獣になってしまうのが私の姿。
命絶える瞬間まで、煩悩まみれの私のままです。だからこそアミダーマン（阿弥陀如来）は、この私の人生に寄り添って、絶え間なくはたらき続けるのです。
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