☆☆　お経文　☆☆

　　　　　　広由本願力廻向(こうゆ　ほんがんりきえこう)
　　　　　　　　　　　　　　　本願力の　めぐみゆえ
　　　　　　為度群生彰一心(いどぐんじょう　しょういっしん)
　　　　　　　　　　　　　　　ただ一心の　救いかな
　　　　　　帰入功徳大宝海(きにゅう　くどくだいほうか)
　　　　　　　　　　　　　　　ほとけのみ名に　帰してこそ
　　　　　　必獲入大会衆数(ひつぎゃくにゅう　だいえしゅうしゅ)
　　　　　　　　　　　　　　　浄土の聖衆(ひと)の　かずに入れ
　　　　　　得至蓮華藏世界(とくし　れんげぞうせかい)
　　　　　　　　　　　　　　　蓮華(はちす)の国に　うまれては
　　　　　　即証真如法性身(そくしょう　しんにょほっしょうじん)
　　　　　　　　　　　　　　　真如のさとり　ひらきてぞ
　　　　　　遊煩悩林現神通(ゆうぼんのうりん　げんじんずう)
　　　　　　　　　　　　　　　まよえる人を　救うため
　　　　　　入生死薗示応化(にゅうしょう　じおんじおうげ)
　　　　　　　　　　　　　　　生死の薗に　かえりくる

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　大意

　阿弥陀如来の広大なる功徳がこめられた南無阿弥陀仏の名号に出遇った人は、この世にありながら阿弥陀如来の説法を聴聞している浄土の菩薩の仲間入りをさせていただく。

　それは、もう二度と迷いの境涯に後戻りすることのない“正定聚不退転”の位に定まるという大いなる利益なのである。

　浄土に往生するということは、生に迷い死に惑う全てのいのちを救うために、この世で阿弥陀如来の大慈悲心の活動の一端を担いはたらく身となる。

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　この８句は、天親菩薩の『浄土論』のエッセンスを、明確に示したものです。そこでは、あまねく一切の衆生を救う阿弥陀如来のお心があらわしてあります。親鸞聖人はそのことを大変に慶ばれ、ここに讃嘆されました。

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　語句の解説

「　本願力　」…阿弥陀如来の全ての衆生を必ず救いとる力をいう

「廻向(回向)」…阿弥陀如来が名号となって私を救いとるために
　　　　　　　　はたらいてくださること

「　一　心　」…疑う心の無いこと。如来からいただく信心のこと

「　帰　入　」…疑う心なく信ずる身とさせていただくこと

「功徳大宝海」…南無阿弥陀仏の名号のこと

「蓮華藏世界」…浄土のこと

「　大会衆　」…菩薩のこと

「　生死薗　」…迷いの世界のこと

「　応　化　」…その人の資質や迷い様子に相応して救うこと


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〜つづく〜