関川の関
越後と信濃の国境には関川が流れ、江戸時代には北国街道の要として、ここに関所が設けられていました。
かつての関川は暴れ川であり、度々氾濫しました。
それ故にこの地には、親鸞聖人大蛇済度の伝説があります。
聖人は流罪を許された後、国府から戸隠へ度々訪れました。
ある時この地で、大蛇が街道を塞ぎ、何日にも渡り通行を邪魔していました。
聖人は、居多ヶ浜で拾った石に経文を書き、つけていた袈裟を松の木に掛けて、大蛇の住む池に石を投げ入れました。すると大蛇は、それ以来姿を現さなくなったということです。
大蛇とは氾濫した関川のことでしょう。
聖人は最新の知見を目にすることができた立場であった方。故に治水に関する技術をお持ちだったのかも知れません。
現在の松は三代目、天神社の境内にあります。昭和40年に大谷派大谷光暢門主がお手植えなさいました。
初代の松は、樹齢700年あまりの老木でしたが、倒木の危険があり、昭和13年に伐採されました。
植え替えた二代目の松も、国道改修工事の為に切られました。
袈裟掛けの松の傍らにはお堂が建ち、親鸞聖人の木像が納められています。
天神社と樹齢800年の大杉
浄土真宗では奇瑞ということを言いませんが、各地に伝わる済度伝説を聞くにつれ、聖人が人々から慕われ、また卓越した宗教性と最新の知見をお持ちの方であったのだと感じます。
参考文献 越後の親鸞 大場厚順著 新潟日報事業社
所在地 天神社
新潟県妙光市関川
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