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 青い海、白い砂。まったり流れる時間。いやぁ〜沖縄は良いところです。 しかしこの島には悲惨な歴史がありました。今でも地面を掘れば、人骨が出てくるそうです。国家の名の下に行われた暴力の渦。 今日本では「国旗国歌法」「教育基本法改正」に表れるように“愛国心”が声高に叫ばれています。はたして愛すべき“国家”とは何なのでしょうか？実は非常に曖昧です。 愛すべき人がいる場所。それならば分かります。愛すべき風土ということもそう思います。しかし愛すべきものが政府であり、権力であるとは思いません。そしてそれを“お上”自身が決めるというのもおかしなものではないでしょうか。 我々には、愛国心の名のもとで犯した戦争という過去があります。その惨状を国内で唯一の地上戦が行われた沖縄で学んできました。 （ツアー：2001年１月31日〜２月１日） ひめゆり平和祈念資料館を見学して ≪ひめゆりの悲劇≫ 「ひめゆり部隊」は、第２次大戦末期の沖縄戦において強制動員された女学生部隊です。 米軍の沖縄上陸によって敗戦が濃厚になった中、日本軍は「お国のために」「悠久の大義に生きよ」の言葉と共に彼女たちを動員しました。23万人死亡というまれに見る激戦の中、部隊と共に戦場に放り込まれた10代の女子学生たちは、マラリヤや砲弾にさいなまれながら甲斐甲斐しくも負傷兵の看護を続けました。 しかし「アメリカ兵に捕まって国の体面を汚すぐらいならば死んだ方がまし」という司令官の下、多くの部隊や市民が自決させられました。彼女たちも例外ではなく、結局ひめゆり部隊は生徒・教員240人中、219人が死亡しました。  「国のために死ね」ということ。 果たして国とは何でしょうか。沖縄戦で浮き彫りとなったそれは、国＝国民ではないということです。 もし国民のためならば、民を巻き込む戦争などある筈がありません。ましてや国の体面を汚すから自決するという選択肢はとれる訳がないのです。本来国民なくして成り立つ国家などあり得ないのですが。 国が国民を守るという理想と妄想。結局は人の集まりですから、我が身可愛さというエゴがでるのは必然です。それは組織にも反映されます。そして決定を下す人を守るために、国民は捨てゴマにされるのです。沖縄戦では、それが浮き彫りとなりました。 あらためて国とは何なのか…。 最前線に立ち、殺し殺されるのは決定を下した人物ではありません。号令をかける人は、いつも安全地帯にいるのです。 しかし権力者は、論理のすり替えと曖昧な言葉を甘いの蜜にくるんで、国民に擦り寄ります。それを喜んで食べる国民は、意図された通りの世論を形成し、その流れに乗っていく。我も我もと。流れに拍車をかけるものが持ち上げられ、流れを止めようとするものは仲間にあらずと蹴散らされる。結局戦争が始まり、傷ついていく。甚大な被害を前に空を見上げて呆然とする…。どうしてこんな事になってしまったんだろうかと。傷つくのはいつも国民です。  無数の砲弾の雨の下、無惨に死んでいく日本・アメリカ兵や沖縄市民を目の当たりにし、また「国のために死ね」という曖昧な言葉に追いつめられて、彼女たちはどんな想いを抱いていたのでしょうか。将来の夢や恋心もあったでしょう。家族のことを最後まで考えていたに違いありません。 資料館には彼女ら１人１人の顔写真があり、その下に死亡状況が書かれています。「○○で目撃されて以来消息不明」という方も多くて…(涙)。 沖縄戦全戦死者23万人のうち12万人余りが一般市民です。それぞれに掛け替えのない愛する人がいて、それぞれに夢があり、戦争さえなければ憎しみ合うこともなく、殺し合うこともなかった普通の人々。その日常を引き裂く曖昧な言葉と作られる世論。逆らいきれないうねり。 掛け替えのない、計り知れない重さを持った“いのち”を奪う権利は誰にもなく、そのようなものには断固に抵抗しなくてはならないと強く感じました。 歴史とは“記憶”なのです。 （つづく） |
