下野国分寺近くにある蓮華寺は、親鸞聖人が大蛇を済度したという伝説の地です。
いまでも蓮華寺の裏手には、その池があります。
昔、嫉妬に狂った女が、夫と妾を食い殺して大蛇と化し、村人を苦しめていた。
村人は毎年９月８日に娘を一人いけにえとしていましたが、ある年、大沢掃部正(かもんのかみ)の一人娘がこれにあたったが、この地を訪れた親鸞聖人が念仏唱えたところ、女の怨念は晴れて極楽往生をとげ、娘は救われました。
この時、天から蓮華の花がふってきたので、この地を「花見ヶ岡」と言い、救われた娘が草庵を建てたのが、蓮華寺であると言う。
環境庁・栃木県
嫉妬という人間の根本にある煩悩。それは自己愛(我執)の最たるものです。
そして、自己愛にまみれた私の姿を「凡夫」といいます。
聖人は仰います。
「凡夫(ぼんぶ)」といふは、無明煩悩われらが身にみちみちて、欲もおほく、いかり、はらだち、そねみ、ねたむこころおほくひまなくして、臨終の一念にいたるまでとどまらず、きえず、たえず
一念多念文意
お念仏のみ教えは、凡夫の救いです。
大蛇と恐れられたすさまじい我執の女性も、聖人を通じて阿弥陀如来の大慈悲心に出遇われたのでしょう。
人とは迷い深き者であり、また救われるべき存在でした。
所在地 蓮華寺
栃木県下野市国分寺1301
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