相模国に滞在していた親鸞聖人は、甲斐国の聖徳太子縁の萬福寺に参拝されました。
当時の萬福寺は法相・天台・真言三宗兼学であり、聖徳太子の命により604(推古天皇12)年に建立されました。
聖徳太子伝記にはこのように示されます。
太子は日本国中から集めさせた馬の中で、甲斐国の黒駒を大変気に入り調教しました。
太子は黒駒にまたがると、家来を１人従えて、東の空へ飛び立ちました。３日後に戻ってきた太子は、「富士山頂に至った」と言ったそうです。
その時の黒駒の蹄跡が「馬蹄石」であると伝わっています。
聖徳太子を「和国の教主(日本のお釈迦さま)」と仰がれる聖人は、是非この機会に参詣したいと思われたのでしょう。
当時の住職源誓は聖人と出遇い、聖人のお弟子となり浄土真宗へ改宗しました。
元々源誓上人は、麻布善福寺の源海聖人の弟子であり、共に聖人のお弟子となったのでした。
源誓は源海と共に、当時の関東地方の浄土真宗に大変な影響力を持っていた「関東六老僧」のお一人とされています。
当地を訪れた聖人は、食後に杉のお箸を地面に差し「この教えを末世にひろめれば、箸より枝葉が生えてくるだろう」と言われると、その箸からたちまちに芽が出て、大木になったという伝わっています。
その杉は火事により焼失してしまい、今は切り株だけが残るのみですが、「杉之御坊」という名称に偲ぶことができます。
推定樹齢500年のムクノキ
所在地 萬福寺
山梨県甲州市勝沼町等々力1289
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