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念仏弾圧
庶民に広く浸透した念仏の教え。
しかしその教えに対し、既存仏教宗派からの異議申し立てが起こりました。
先ずは元久元(1204)年、比叡山・延暦寺からの専修念仏停止の訴状に対し、
法然聖人は「七箇条の制誡」をもって答えました。
翌年には奈良・興福寺から念仏禁止の奏状が朝廷に提出されました。
「興福寺奏状」です。
しかし法然聖人は毅然とした態度で反論します。
念仏こそが、全ての人が救われる道であるからという確固たる意志を持って。
この時朝廷は、まだ念仏弾圧へと動くことをしませんでした。
しかし、事件は起こったのです。
法然聖人の弟子、住蓮房・安楽房は、東山鹿ヶ谷にて念仏道場を建てて、
人々に念仏を勧めていました。
善導大師の「六時礼讃」を節を付けてお勤めする声は大変に美しく、
また美男子でもあったといわれます。
２人は多くの人々を魅了していました。
そこに集う者の中に、後鳥羽上皇の官女、松虫・鈴虫もいたのです。
建永元(1206)年12月、後鳥羽上皇は熊野へ行かれました。
その時に、松虫・鈴虫は念仏に帰依し、僧となったてしまったのです。
熊野から帰ってきた上皇は、そのことを知り激怒。
住蓮房・安楽房は捕らえられ、死罪となってしまいました。
法然聖人を信頼し、念仏がひろまって行くことに対して黙認していた朝廷ですが、
この事件を機に、念仏弾圧へと舵を切ることになります。
綽空と法然聖人との安らかで法悦の日々にも、終焉の足音が近づいて来ました。
所在地 安楽寺 京都市左京区鹿ケ谷御所ノ段町
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