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霧島連山韓国岳
念仏禁制中は藩による取り締まりがあったにも関わらず、数多のお念仏をよろこぶ人々がおりました。
それには、藩外から密かに教えを伝えた本山本願寺特命の僧の活躍や、大魯、安楽寺の深道、乗海寺の無涯らによる教化、俗に「毛坊主」とよばれる、僧侶ではないが僧侶の役割をこなす講頭による地道な活動が行われていたからです。
各地域では、お念仏申し教えを聴聞する法座活動が、人目を忍びひっそりと営まれました。
この様な信仰形態を「かくれ念仏(隠れ念仏)」と呼んでいます。
◇ざざまな信仰形態
【 個人的信仰 】 仏像や絵像を隠し持つ
まな板本尊、傘本尊(人吉市楽行寺資料写真より)
上のように、柱や壁、まな板や傘の中などに、御本尊阿弥陀如来の仏像や絵像を隠し持ち、礼拝していました。
これらは本人以外知りようがないものなので、ひっそりと歴史に埋もれ公になっていないものも多数あると考えられます。
民家の柱に隠されたご本尊(本願寺鹿児島別院資料写真より)
【 共同体信仰 】 「講」を結成し活動
信徒は、秘密裏に講を作り信仰を伝えました。
講には「取り次ぎ役」がおり、本山本願寺と密かに連絡を取っていました。
集落毎に講があり、「仏飯講」「焼香講」「煙草講」「椎茸講」「灯明講」「細布講」 などの呼び名が付けられていました。
当初は講名の物品を本山へ寄進していましたが、藩の監視が厳しくなると持ち運びの利便性から、金銭を納めていたようです。
人目を避けるため、夜間洞穴などに集まり活動していました。
【 地域外信仰 】 海上や隣接藩での活動
薩摩半島の坊津地域では、舟で海に出てお念仏を称えていたことが知られています。
また「抜け参り」として、隣接藩寺院へ聴聞しお念仏申すために、密に抜け出していました。
熊本藩水俣の源光寺、西念寺には、薩摩藩の米ノ津や阿久根、長島から舟で、または関所を避け夜間に山を越えて、お寺をめざしました。
大口盆地や山野の門徒は、五目木山地を越え、石坂川上流の水俣西方寺へ。
大隅半島の志布志、波見、内之浦、岸良からは、高鍋藩の串間正国寺へ。夜間に舟で、または陸路の海沿いや山越えでへ参拝しました。
飫肥藩(おびはん)の寺院へも参拝するルートがありました。
参考 「鹿児島藩の廃仏毀釈」 名越 護 著 南方新社
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