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方角あれこれ
2005.７.７掲載
副住職 菅原智之
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よくこんな質問を受けます。
Ｑ．「お仏壇はどの方向に置いたらいいでしょうか」
Ａ．「どこでも良いですよ」
Ｑ．「でも、鬼門とかあるでしょう？」
◇鬼門とは
「鬼門」とは何でしょうか。
その昔、北から東へ３０度が丑（うし）の方角、東から北へ３０度が寅の方角、その間の北東が丑虎（うしとら）と言われ、鬼門とされました。
ではそこが何故“鬼の門”なのか？
牛の特徴は角、そして寅は縞模様。そう、角と縞パンツの鬼の特徴と一致します。ただそれだけのこと。これは陰陽占いなのだそうです。なーんだ。
◇そもそも方角とは？
方角とは何でしょうか？
立っている向きが違う相手に説明をする場合、右と左では通じません。そんな時に重宝します。それ以上でも以下でもない、共通の取り決めです。ただそれだけのこと。でも地球は丸いから、ずっと遠くの西は東でもあるし、その逆も。
あくまで仮のものです。
◇北枕は？
「北枕」。これも随分気にされる方があります。実はお釈迦様に由来するのです。
お釈迦様が８０歳の時、病を患い、いよいよお亡くなりになる時のことです。頭を北、顔を西に向けて横になりました。地球の磁気（南極と北極とを貫いている）に沿って北に頭を向けるのは、血流が良くなります。顔を西に向けて横になると、心臓が上になるので、これも血流にグット。この姿勢でお亡くなりになりました。これを頭北面西と言います。涅槃像や涅槃図のお姿は、この時の様子を表しています。
後の人々もお釈迦様のお姿に習い、北枕を真似しました。どうしても体が弱っているときが多いため、最後の姿になることが多いのです。それがいつしか死者と結びつき、縁起が悪いとされてしまいました。ですが、実は理に叶ったものなのです。
インドクシナガラの涅槃仏
◇西方浄土
「浄土」も西方にあると説かれます。
西に求めたのは、太陽が沈む方角だからです。人生の終焉と落日を重ね、新たに生まれ往くところの象徴として西方を求めました。また、日本や中国からインドは西になりますから、仏教の聖地への憧れも加わり、西を特別のものにしたのでしょう。
因みに「南無阿弥陀仏」はインド語「ナーム」と「アミターブッダ」の“音訳”なので、漢字の意味から推測される、南にいないという訳ではありません。あくまで当て字なので、漢字にはなーんにも意味はありませんよ。
◇ ◇ ◇
方向はあくまで仮のものであり、道具です。便利なので無くてはならないものですが、それに振り回されませんよう、取り扱いにご注意。
合掌
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