その１１ 説法の地 祇園精舎
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」。
平家物語で有名な祇園精舎は、インド北部のネパールに近い所にあります。ルンビニーからはバスで４〜５時間です。
トイレタイムです
ルンビニーからお腹を壊した私は、バスの揺れが苦痛でなりません。日本から持参した正露丸もインド菌の前では歯が立たないのです。見かねたガイドさんが「インドの腹痛にはインドの薬しか効かない」と、買ってきてくれました。やや収まったものの、下ったお腹には焼け石に水。そんな身でありながらお昼のカレーはしっかりと頂きました。「インドに負けてたまるかっ！」
お昼のカレーと戦ったホテル
今回まわった所は、日本のように道路沿いにトイレが整備されていないんです。私は下痢、しかしトイレはない…。しっかりと大地に足（？）跡を残してきましたー！
舎衛城の見張り塔跡
祇園精舎とは、祇樹給孤独園精舎(ぎじゅきっこどくおんしょうじゃ)の略です。かつてのコーサラ国の都シラーヴァスティー（舎衛城）という城壁都市の中にありました。
祇園精舎跡
その昔、コーサラ国のこの辺りにスダッタという名の長者がいました。彼は貧しい孤独な人々に食べ物を施こす徳の高い方だったので「給孤独長者」と呼ばれていました。お釈迦さまの熱心な帰依者であった彼は、是非お招きして食事の施しをし、立派なお寺をお布施したいと思い立ちました。
お寺に相応しい場所だと目星をつけた園は、ジェータ太子のものでした。長者の申し出に対し、太子は「園にいっぱいの金貨を敷き詰める事が出来れば、その金貨と引き替えに譲ってもいい」と答えました。
長者は金貨を集め敷き詰め始めました。その熱意に打たれた太子は園を譲ることにしました。長者は園をお釈迦さまに寄進し、そこにお寺（精舎）を建てたのでした。
今も信仰を集めていることを真新しい金箔が物語ります
お釈迦さまはここで数々の説法をされ、お経として残されています。浄土真宗で拝読する「仏説阿弥陀経」はここで説かれました。序文に「舎衛国祇樹給孤独園」と説法の場所が記されています。
祇園精舎跡は、大きな木々が強い日差しを遮り、心地よい空間でした。野生のインコやオウムが飛び交うそこは、まさにオアシス。この場所を是非お布施したいと願ったスダッタ長者の気持ちがよく分かります。しかし、金貨を敷き詰めるのはいくら何でも無理でしょう。とっても広いですから。
我々は赤いレンガ積みの僧院跡で読経をしたのですが、まるで目の前にお釈迦さまがおいでになり、説法を直に聞かせてもらっている感じがしました。
黄色い袈裟をつけた少年僧が、しきりに話しかけてきます。言葉はよく分からなかったのですが、持っているチラシを見ると日本語が書いてあります。なるほど、この近くにお寺を建てたいということでした。国や宗派は違えども、お釈迦さまを慕う気持ちは一緒なんだということに感動してしまいました。思わず募金しました。今頃どこまで建設が進んでいるのかな？
強い日差しの下、僧院跡の赤いレンガと青い空、緑の木々にチベット僧の黄色い袈裟の極彩色コントラストがとても印象的でした。
しかし残念ながら、“祇園精舎の鐘”はどこにもありませんでした。
青い花は青い光を、黄色い花は黄色い光を、
赤い花は赤い光を、白い花は白い光を放ち、
いずれもがそれぞれに美しい
《ブッダの言葉 仏説阿弥陀経 より》
つづく
